自動車部品、建設機械、航空宇宙といった高付加価値の製造分野では、高強度、高靭性、耐食性という優れた特性を持つ合金鋼が、コアパイプ継手部品の主要素材として採用されています。しかし、合金鋼の高硬度および高靭性は、パイプ切断工程において多くの課題ももたらします。従来の熱切断では切断面の酸化や結晶粒の粗大化が生じやすく、一般的なノコギリ加工では工具の摩耗が早く、精度にも限界があります。これに対して、冷間切断(Cold sawing)技術はその独自の工程原理と適応性により、合金鋼パイプ加工における主流の解決策となりつつあり、高精度自動車部品パイプ継手の製造プロセスにおいては、すでに標準的な工程となっています。
合金鋼パイプの切断に冷間切断(コールドセービング)を選択する主な理由は、その冷間切断プロセスが合金鋼の材質特性に適しており、加工品質と生産効率の両方を確保できる点にあります。これには主に3つの理由があります。
1. 熱による損傷がなく、材料性能を維持
冷間切断では低温で切断を行うため、合金鋼の切断面が酸化したり、結晶粒が粗大化したり、熱変形を起こすことがありません。これにより、その後の溶接や曲げ加工などの工程に悪影響を与えることを回避でき、自動車部品などの高精度加工用途に特に適しています。
2. 切断品質が優れており、二次加工が不要
冷間切断は、滑らかでバリのない高精度な切断面を実現し、追加の研磨加工を必要とせずに次の工程に直接進むことができます。これにより工程コストと時間を大幅に削減できます。
3. ブレードの耐久性が高く、高硬度材にも適している
超硬合金の円鋸刃を装着した冷間切断用丸鋸盤は、合金鋼の高硬度にも対応できます。刃の摩耗率は砥石などの工具に比べてはるかに低く、装置の剛性も高いため、安定して連続的な切断工程を実現します。